瀕死の里山物語

瀕死の里山物語

里山は里人に放置され瀕死の状態である。薪炭を使うことをやめ、ほだ木としての活用もやめ、枯れ葉を有機肥料として活用することもやめてしまったのである。杉・ひのきを植えたまではいいが枝下ろししない、間引きもしない。当世の里山は風通しが悪く、日当たりも悪く、混雑した中に必死で生きている。花粉の出ない品種改良した杉ひのきをつくったというニュースが流れたがあれはどうなったのでしょうか。里山の杉・ひのきは自分の命が危ないので子孫を増やそうと必死で花を咲かせ、花粉を、種をばらまいているのである。そのきっかけを作ったのは人間である。

杉・ひのきを植えた本人は高齢になり里山には戻ってこない。里山は笹・篠竹・アオキ・サカキなどの常緑樹が我が世の春と増殖している。薬草を始めとした絶滅危惧種の保護、ツツジ・ヤマザクラなどの落葉樹の保護に里山調査隊は少しずつではありますが遊歩道の周りを切り開いてきました。今年はヤマザクラ、ツツジ、コアジサイと花が咲き乱れています。

写真のヤマザクラは常緑樹の繁殖のため陽が当たらなくなっていたのです。すでに半分はキノコなどが生えています。また、半分は枯れようとしていました。でも明るくしてやると芽が出ててくるのです。ヤマザクラの万能細胞が目を覚まし幹から根本から葉っぱが小枝が出てくるのです。その他にも奇跡的なことが起こってきています。この15年の歳月、里山とともに歩んできた歩みを少しずつ書いていきたいと思います。いのしし・たぬきなどの小動物、チョウチョ・ハチを始めとした昆虫、そして小鳥たちと里山は少しずつ復活してきました。比企丘陵のほんの一部ではありますが里山復活の兆しがあります。全国の里山保護・復元に関わる皆様の一員になれたら幸いです。

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里山を里人が放置してしまったために、レッドリストの総数が増えてきました。絶滅危惧種も極端に増えてきました。里山に保水力がなくなり、地球温暖化で雪が降らなくなったことで里山からの水の供給がなくなってきた。更に安易に砂防ダムを作り溜まった土砂を放置したために下流と上流の交流がなくなり、海と山との交流がなくなり、里の田畑はドングリの木を活用しなくなり、肥料更には農薬を使うようになりました。里山を敬い祈りの場としての神社を作り村社を作り、神輿を担ぎ、里人の交流の原点だったのではないでしょうか。遠くから森林浴に来る人もいます。しかし、今のままでは熊、イノシシ、猿を恐れて耕作地まで放棄しているのが現実です。都会の人々が森林浴を楽しめる里山ではありません。遊歩道を明るくするだけで、森は変わってきます。このことを実証することに成功してきています。子どもたちも楽しめる遊歩道を目指して頑張っています。

皆様の低山ハイキングを心よりお待ちしております。

 

2019年5月 伊達 光

里山の遊歩道を保全・整備を始めて15年の歳月が流れました。遊歩道は倒木もなく、明るく歩きやすくなりました。うっそうとしたアオキ・篠竹はなくなりました。山桜・ツツジなどの花が咲きもうすぐコアジサイが咲き乱れます。里山はみなさまの見学を心待ちにしております。